【創作】ARMORED CORE VI After the Burnout【AC6】【アーマードコア6】
「ここで働く前に、少しだけ昔話をしよう」
「ある男がいた。賢い猟犬を従え、己の罪を清算しようとした男だ」
「男は、コーラルを憎んでいた。友人たちを殺したコーラルを」
「『コーラルが絡むと死人が増える』こう男は言っていたそうだ」
「俺はこの話が嫌いだ。コーラルなんか無くても、生まれた者はみな死んでいく」
「もうひとつ」
「男の猟犬たちは、忠実に彼の罪を清算し続けた」
「一人ずつコーラルを殺して回った」
「主人亡き後、最後の猟犬が最後のコーラルに火を点け、そして死んだ」
「俺は……この話も嫌いだ」
「俺は犬が嫌いだ」
「……持っておけ。それがここでのお前の名前だ」
「お前も分かっていると思うが、ここではみんな金を稼ぐために集まっている」
「封鎖機構の焼石に水を垂らすような仕事から、解放戦線の酔っ払いどものウェットワークまで、金のためなら俺たちは何でもやる」
「ここで生きるために」
「二度もコーラルで焼かれた土地で、やれることなんて少ない」
「宇宙に上がりたいなら、命がけで大金を稼いで、封鎖機構にでも再就職するといい」
「……まあ、稼ぐ前に死ななきゃいいが」
「レイヴン」
「いくつか仕事を取ってきた。あとで確認しておけ」
「お前の機体はガレージにある。機体やパーツのことで分からないことがあれば聞いてくれ」
「いずれ仲間を紹介する。ささやかだがパーティもするつもりだ」
「縁起のいい名前だろ?なにせ、あの『レイヴンの火』以来の新顔だ」
「ジャンクボックスへようこそ」
「歓迎しよう、盛大にな」